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コラム【Sidewalk View】第8回:サイエンスとアートと運(モンドデザイン堀池洋平)

column 2016-11-08  

戦後から現在の日本経済の成長を支えてきた会社に新日本精練があります。その前身となる八幡精練、富士製鐵はまさに戦後の何もないところから這い上がり、世界有数の企業になりました。戦争で工場も破壊されてない、資金もない、技術もない。すべてがないところから大規模な事業を行おうとすることは、かなりのチャレンジ精神です。

まず資金を調達しようと試みましたが、戦後間もないために失敗の連続でした。しかし、朝鮮戦争に起因し、日本を強い国にするというアメリカの政策転換があり、これがきっかけとなり海外から大規模な融資を受けることができました。これは「運」を味方につけたと言えます。

この政策転換により海外の技術が日本に集まってきたことと、さらには新しい工場設備の建設で自分の技術を存分に活かしたいと考える海外の優れた技術者が集まったことにより、日本の生産工場は以前よりも格段に生産性が向上しました。

また、日本は圧倒的に鉄鋼資源が少なく、かつコストも割高なので利益を確保するのが難しい状況でした。このことを冷静に分析すなわち「サイエンス」をした上で、両社は海外から原料を購入して海外に販売することにしました。

通常、製鉄工場は鉱山の近くにつくることが常識でしたが、海外から調達して海外に販売するのだから海沿いに作れば良いという発想と決断で、海を埋め立てて大規模工場を建設しました。この発想は「アート」の要素だと思います。

海沿いで専用船を使えば、陸運よりもコストが抑えられるといった厳密な調査もあったことと思います。さらには、全行程の工場建設には莫大な費用と数年単位の時間が必要なため、当初は半製品を海外から購入してきて、仕上げだけを行うための工場から建設を始めるといった逆転の発想で、軌道に乗せるといった方法をも想像(=アート)して実践しています。

この3つの要素のどれが欠けても事業の成功は成り立たず、サイエンスに裏付けされたアート。巡ってきた運を逃さないアートとサイエンス。これらを駆使して事業展開を行うことが必要なのではないでしょうか。

【著者紹介】

【堀池洋平(ほりいけ・ようへい)】

1980年神奈川県生まれ。幼少期から高校卒業まで福島県いわき市で過ごす。大学卒業後に広告制作会社に勤務。2006年、廃タイヤチューブを再利用した自社開発製品「SEAL(シール)」を販売すべく株式会社モンドデザインを創業。代表取締役に就任
モンドデザイン公式HP:http://www.mondodesign.jp/
SEAL公式HP:http://www.seal-brand.com/index.html

堀池さん②顔

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